場の量子論への準備1

物理学ノート

量子力学の初歩』より続き統一理論へつながる場の量子論を理解するために必要となる概念を理解することを目標にしよう。自由電子の波束の記述を通して位置と運動量の関係を理解し、相対性理論的量子論につなげる。。

1. 自由電子と波束

1.1 計算機代数的アプローチ

量子力学の初歩ではポテンシャル井戸の中に束縛された電子の波動関数の表し方を理解し、原子の中も同様の仕組みで電子が束縛されていることがイメージ出来るようになった。

一方、霧箱の中を飛行機雲の様な、軌跡を残しながら電子が飛んでいく様子を観察することができる。ニュートン力学では『質量mの電子が外力の働かない状態で速度v(つまり運動量p=mv)で運動する場合、その軌道はx=vtで表される』と簡単に言い表すことが出来る。しかしこれを以下の波動関数の形式で表すことは、一見困難に思える。

\[\small \Psi(x,t)=A e^{i (k x-\omega t)}\\\small \tt \tag{Eq1.1-1}\]

原子やポテンシャル井戸の狭い空間に閉じ込めらていた場合の解であった。従って関数の分布範囲が定まり正規化により振幅が求められる。なのでこの関数ψは空間に対する条件を与えて解かないかぎりAは求まらず”絵”に描くことが出来ない。しかし仮にAを適当に与えて描画し、動的な変化を考察することはこの関数ψの性質を理解する上で有効だろう。空間時刻t=0における関数ψの空間分布をプロットすると

Fig1.1-1

このように左右に際限なく広がってしまい、電子の位置を示すことができない。当然、波数kを指定してプロットしたのだから、この図から波数を観測することにより運動量の方は知ることはできる。

この関数ψに光子の運動をあてはめてみよう。光子は質量が無いので、相対性理論によりエネルギーと運動量の関係はE=cp となる。そして光子の運動速度は絶えず光速度定数cとなる。つまり、

\[\small \begin{cases} i\hbar\partial_t\psi(x,t) =E=c p\\ \frac{\large \hbar }{ \large i}\small\partial_x\psi(x,t)=p \end{cases} \]

運動量pで等式をむすぶと、

\[\small \partial_t\psi(x,t)=-c \space \partial_x\psi(x,t) \tt \tag{Eq1.1-2} \]

の微分方程式を得る。つまり『光子の場合、波動関数の時間的変位はその点の空間微分(隣接点間の波動成分の傾き)により決まる』という事だ。

光子では ω=c/λ, k=2π/λ の関係によりその波長、つまり色が決まると波数kと角周波数ωは定まる。適当にAを与えて(色を気にせず)kを決め、時刻t=0とすると、Aei(kx-ωt)をプロットできる。

以下の時計が並んだ様な図は、上段が Aei(kx-ωt) を時刻tでの空間サンプリングしたもので、下段がt+Δtで空間サンプリングしたものを示している。円の中の青いポインターが空間xの各点での波動の成分を表している。以降この1サンプル分の成分表示を複素円と呼ぼう。

波動の成分は複素数であるので、一つのポインターが振幅Aと位相θの2成分を表している。この例では、どの点でもポインターの振幅は変わらず、左から右に向けて各点でポインターの位相だけが+Δθ(左周りに増加)している。

↓Δt後

Fig1.1-2

自然単位系で考察するため c=1 とすると Eq1.1-2は\[\small \partial_t\psi\ =-\partial_x\psi\]となる。 サンプリング間隔⊿x、⊿tと指標 \(n_x, n_t\) を用いて以下の様に離散化できる。\[\small \left\{\psi(t+\Delta t,x)-\psi(t,x)\right\}/\Delta t=-\left\{\psi(t,x+\Delta x)-\psi(t,x)\right\}/\Delta x \\\small \downarrow\\\small \left\{\psi[n_t+1,n_x]-\psi[n_t,n_x]\right\}/\Delta t=-\left\{\psi[n_t,n_x+1]-\psi[n_t,n_x]\right\}/\Delta x \]

と書ける。これを少し変形して、

\[\small \psi[n_t+1,n_x]-\psi[n_t,n_x]=-\Delta t\left\{\psi[n_t,n_x+1]-\psi[n_t,n_x]\right\}/\Delta x \]

この式に対し、以下の様にxとtの差分を示す関数を定義すると、

\[\small \psi_x'[n_t,n_x]\equiv \psi[n_t,n_x+1]-\psi[n_t,n_x],\\\small \psi_t'[n_t,n_x]\equiv \psi[n_t+1,n_x]-\psi[n_t,n_x]. \]

以下のように時間-空間の差分関係を表すことができる。

\[\small \psi_t'[n_t,n_x]=-\space\psi_x'[n_t,n_x]\Delta t/\Delta x \tt \tag{Eq1.1-3} \]

この式をFig1.1-2にあてはめてみよう。以下の図はFig1.1-2の拡大表示したものだ。左上端の複素円はFig1.1-2の1行6列の複素円から4個分を抜き出してある。

Fig1.1-3

図中の(1)から(3)までを説明すると、

  • (1)の上向緑ベクトルは右隣りの複素円との差分 ψ’x を表している。各点の位相は少しずつ右に回っている。つまりψ’x は空間方向に振った場合の位相の回転速度と言える。
  • (2)は(1)のψ’x(上向緑ベクトル)に -Δt/Δx を掛けて算出された時間差分を表している。この量は下段の下向緑ベクトルに対応し、図の通りΔt後の位相を右に回転させる。
  • (3)の赤ポインターは常に青ポインタ―(波動成分)と共に表示される時間差分の成分であり、下段に記載した下向緑ベクトルと同じものになる。

このように振幅固定で位相をすこしずつ左回転させた空間分布を持つ波動関数は、時間発展でも振幅が変わらず、位相だけが少しずつ右回転していくことになる。

つまり時刻t0における空間成分さえ与えられれば、その先波動関数がどのように変わっていくかが決まっていることになる。

このFig1.1-3での時間発展の仕組みを数値計算によりシミュレーションしてみよう。ψ(x,t)の成分を時間 t=0で、x上120点サンプリングする。以降Δtごとに、全120点にEq1.1-3の計算を繰り返し適用した。以下をがその結果となる。アニメーションでは初期サンプルを表示後、Δt毎の計算結果を8回分繰り返し表示ている。

Fig1.1-4

今ある波の形状そのものが、波を進める原動力になっていると言えよう。この例で光子が波として表現された場合に、どのような仕組みで進行波となるのかが理解できたと思う。

一方、電子の場合は

\[\small \begin{cases} i\hbar\partial_t\psi(x,t) =E\\ \partial^2_x\psi(x,t)=-k^2=-\frac{\large 2m}{\large \hbar^2}E \end{cases} \]

Eで等式をむすぶと、

\[\small \hbar\partial_t\psi(x,t)=i\frac{\hbar^2}{2m}\partial^2_x\psi(x,t) \tt \tag{Eq1.1-4} \]

となる。つまり『波動関数の時間的変位は、その点の2階空間微分(曲がり具合)により決まる』と言うことだ。尚、光子の場合と違って虚数 i が掛かっていることに注意したい。時間発展をもたらす位相成分(赤いポインター)は、空間二階微分により現在の位相(青いポインター)に対し180度位相が反転し、 さらに”i” により90度右回転させられて、光子の場合と同様に元のポインターに対し左90度の位置に直交することになる。

1/(2m)=1、 ℏ=1 とし、これを差分方程式に置き換えると

\[\small \partial_t\psi(x,t)=i\partial^2_x\psi(x,t)\\\ \downarrow\\\small (\psi[n_x,n_t+1]-\psi[n_x,n_t])= \\\small i\space \Delta t \space(\psi[n_x+1,n_t]+\psi[n_x-1,n_t] -2\psi[n_x,n_t])/\Delta^2 x \\\small \downarrow \\\small \psi’_t [n_x,n_t]=i\space \psi_x” [n_x,n_t]\Delta t/\Delta^2 x \]
\[\tt \tag{Eq1.1-5}\]

以下のように光子の場合と同じ図を使ってこのEq1.1-7がどのように時間的発展で機能するのかを説明しよう。

Fig1.1-5

図中の(1)から(3)までの詳細は、

  • (1)の左向緑ベクトルは左右隣りの複素円における成分との差分から計算されるψ’’x を表している。この量は以下の図にあるように複素円の大きさに反比例する曲率の様なものとなる。当複素円の青ポインターの成分と逆位相になっている。(この緑ベクトルは光子の場合が位相の回転速度ベクトルに相当するなら、電子の場合は遠心力に相当する様な違いといえるだろう)

Fig1.1-6

  • (2)はEq1.1-7にっ基づき、(1)のψ”x(左向緑ベクトル)に i Δt/Δx を掛けて算出された時間差分を表している。この量は下段の下向緑ベクトルに対応し、図の通りΔt後の位相を右に回転させる。
  • (3)の赤ポインターは常に青ポインタ―(波動成分)と共に表示される時間差分の成分であり、下段に記載した下向緑ベクトルと同じものになる。

光子の場合と同様に Eq1.1-7 を使ってt=0からの時間発展をシミュレーションしてみよう。以下の通り、光子とは異なる仕組みで位相は回転させられるが、電子の進行波を再現できている。

Fig1.1-7

以上の様に光子は位相回転速度を原動力とし時間発展し、電子は回転による遠心力を原動力として時間発展をするというイメージがつかめたと思う。いずれの場合も、その時間発展は同じ振幅を保って位相を回して、進行波となっている。この様な波を、ここでは平面進行波とよぼう。

それなら、『平面進行波の一部を切り取って持ってきても、そいつはかってに動いてくれるのでは?』と期待したくなる。

切り取り方にも色々考えられるが、まずは最も安易な方法で切り取ってみよう。電子の位置x0=0とすると、x=0を中心にもつ高さ1の方形波U(x)を波動関数に掛けること、つまりU(x)ψ(x)とすることだ。

Fig1.1-8a

この例では中央 x=0 で幅±2としたが、以下の図のように波動関数を切り取ることができた。

Fig1.1-8b

この波動関数をψuとしよう。これを周波数領にフーリエ変換すると、運動量(の1/ℏ倍)を示す波動関数となり、波形は以下の様になる。

Fig1.1-8c

この様にkは切り取る前には幅の無いδ関数から、大きく広がりを持ってしまい、定数で表せな無くなってしまった。運動量kが変わると、エネルギーEが変わり、それに応じて周波数νが変わってしまう。従って以下の様にωは運動量kの関数とる。

\[\small \Psi(x,t)=U(x-x_0) e^{i [k_0 x-\omega(k_0) t]} \tt \tag{Eq1.1-6a} \]

しかし、このユニット関数のだと運動量の広がりがあまりにも大きい。

せっかく空間的に局在化させても、このように運動量が大きく広がってしまっては自由電子の物理モデルとしてはいまいちだ。その原因は以下の方形波をフーリエ変換した波形で分かるように、方形波自身が周波数領域で大きな広がりを持っているからだ。

Fig1.1-9a

位置も運動量もうまく局在化させられる切り取り方を見つけたいところだ。方形波の代わりに以下のガウス関数を使ってみよう。

\[\small g(x)=e^{-(\frac{x-x_0}{2\sigma})^2} \]

Fig1.1-9b

ガウス関数はフーリエ変換後もガウス関数を保ち、方形波と異なり分散が小さい。

Fig1.1-9c

方形波 u(x) を g(x) を置き換えると以下の通りとなる。この式を基にω(k)の関数を特定し、正規化をした結果が求めている自由電子の波動モデルと言えよう。

\[\small \Psi(x,t)=e^{-(\frac{x-x_0}{2\sigma})^2} e^{i k_0 x} e^{-i \omega(k_0) t} \tt \tag{Eq1.1-6b } \]

Fig1.1-9d

Fig1.1-9e

ω(k)の関数を特定し波動モデルを完成させる前に、そのモデルがどのように動いてくれそうかを既に確立した差分方程式によるシミュレーションにより明らかにしてみよう。初期値として以下のt=0の波動関数が示す空間分布を与え、Δt後の時間的発展を計算する。

\[\small \Psi(x,0)=e^{-(\frac{x-x_0}{2\sigma})^2} e^{i k_0 x} e^{t=0} \tt \tag{Eq1.1-6c} \]

光子波束の時間発展シミュレーション(-ψ!x[nx,nt])の結果は以下のとおり。

Fig1.1-10

期待通り、切り取った波動関数でも光子の波束が形を変えずに移動していくことが分かる。尚、誤差の累積に関する配慮を全くしていないのでこの程度の短い時間範囲で打ち切っている。さて波数一定・振一定の単純な波動関数が進行波となる仕組みは理解できたのが、ガウス関数での切り取りにより波形がかなり複雑になった。フーリエ変換で確認した通り色々な波数が混ざり合ってこの波束を構成いている。この様な状態でどのような力が働き波束を進めているのだろうか?

以下、Fig1.1-xxxでの波の盛り上がった近辺を、適当な間隔に間引いて複素円にプロットした。

Fig1.1-11a

波束のピークは中央付近の複素円となる。

ここで注目すべきはピークの左側では時間差分ポインタ(赤)と波動成分ポインタ(青)の交差角が90度より少し開いて、逆に右側では90度より少し閉じているという事だ。以下は右側のさらに先を拡大表示したものだが、しっかり狭まって行くことが確認できる。

Fig1.1-11b

こちらは左側で90度より開いている。

Fig1.1-11c

つまり左側では現在の波動成分(青)を右回転させながらも、併せて振幅を減少させる方向に働き、右側では逆にを振幅を増大させるように働くという事だ。この仕組みが波束のピークを右にに進めているということだ。

同様に電子波束の場合もシミュレーションしてみよう。

Fig1.1-12

光子と同様に波束は移動している。しかし光子とは異なり、移動しながら波束の幅が広がっていく様子がうかがえる。

Fig1.1-13a

右端よりさらに先を拡大表示してみる。右に進めば進むほど光子以上に時間差分ポインタと波動成分ポインタとの交差角は狭くなっていく傾向が確認できる。

Fig1.1-13b

左も同様に光子以上に開き方が大きくなっている。

Fig1.1-13c

以上により光子も電子も波束を移動させるときに何が起こっているかある程度理解できたと思う。以下なぜ光子波束が形を変えずに進行出来て、電子波束は広がりながら進行するのか、そのメカニズムを考察してみよう。

波動関数ψをガウス関数を使って切り取った。切り取る前の波動関数ψに対して時間差分の操作 -ψ’x[nx,nt] を行うと、すでに確認した通り波が右に進む。ところで切り取りに使ったガウス関数に対しても時間差分の操作 -ψ’x[nx,nt] を行うと、何がおきるか?

以下の図の通り、緑の破線は波動関数を微分しマイナス符号を掛けた足しこむまれる微小量を表示している。

Fig1.1-14a

これを元のガウス関数に足しこむと、右側面が盛り上がり左側面が押し下げられる(右半分は右傾斜なので足しこまれる量は実数で正符号だ。左半分は負符である)ので、右にずれる。従って波は(位相回転しないで)実数のまま以下の通り少しずつ右に移動する。

Fig1.1-14b

切り取った波束は、このガウス関数と、元の平面波である波動関数との合成関数と言えるので、同様に形を変えずに右に進むと考えれば納得できるだろう。

一方電子波束の場合、ガウス関数に時間差分の操作 +i ψ”x[nx,nt] (波動関数を2階微分しi符号で位相を90度回した微小量を足しこむ)を行うと以下の様にガウス関数の形状が持つ曲率の正負の変化(凹凸)に応じて微小加算量の虚数成分(紫の線)がでこぼこと正負の値を持つ。

Fig1.1-15a

例えば右半分だけでも、外寄りの右側は[+]に働き、内寄りの左側は[-]に働く。この点が右半分は単純に[+]だけだった光子の場合と異なる。

この微小加算量が以下のアニメーションの通り、実数内に固定されていたガウス関数を、虚数方向にふらふらと揺さぶる。

Fig1.1-15b

上記以上の時間経過は誤差が大きくなるので、この後導出する時間発展の関数を先出して、プロットしよう。

以下Fig1.1-15cは上記シミュレーションの直後の状態であり、さらにその下のFig1.1-15dは5倍ほど時間が経過したものだ。

Fig1.1-15c

山の両斜面は自身の凹凸形状により端に行くほど位相の回転力が与えら波動が広がって行く様子が分かる。まるで山に積み上げた石がごろごろと崩れ落ちるように崩壊していくようだ。

Fig1.1-15d

尚、グレーの線は振幅(包絡線と同じ)をプロットしており、ひしゃげてしまっているが、ガウス関数の形は保っている。

このガウス関数と平面進行波の合成関数である電子波束は、上記の様に内在するガウス関数の崩壊によって、広がりながら移動して行くと考えると、納得できるだろう。

1.2 解析的アプローチ

シミュレーションでは限界があるので波束の時間的発展を含めた波動関数を求めてみよう。結論から言うと、(少々複雑にデコレーションされた感があるが)以下の式が答えと言う事の様だ。*参照URL(田内修@筑波大)

\[\small \psi (x,t)=\sqrt{\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma_{x0}(1+i\xi t)}}\exp\left[\frac{-x^2/4\sigma_{x0}^2+i(k_0x-\omega_{k0} t)}{1+i\xi t}\right], \]
\[\small \xi=\frac{\hbar}{2m\sigma_{x0}^2 },\space\omega_{k0}=\frac{\hbar k_0^2}{2m} \tt \tag{Eq1.2-1} \]

この式は前出の以下の式の未定部 iω(k0)を求め整理したものだ。

\[\small \Psi(x,t)=e^{-(\frac{x-x_0}{2\sigma})^2} e^{i k_0 x} e^{-i \omega(k_0) t} \tt \tag{Eq1.1-6c} \]

シミュレーションではEq1.1-6を t=0 として利用したのだが、この式では時間的発展の表現を組み込んであるので任意の時間を指定して空間分布を知ることが可能となる。

この式を数式処理(Mathematica )でプロットしてみよう。自然単位系(m=1、ℏ=1)とし、適当な運動量(p=ℏkより、k0に値を代入)を与えて、以下の様に、時間tを0から増やしながら順次プロットすると、確かにx0付近にいた波動関数が時間経緯と共に右に移動していく様子が分かる。シミュレーションの限界だったFig1.1-12の続きを見ることになる。

時刻 1(t=0で、位置x=0 に局在)

時刻 2(右に移動しながら、幅が広がり始める)

時刻 3(さらに右に移動しながら、広がりが大きくなり高さは低くなる)

Fig1.2-1

包絡線のピークが電子のニュートン力学的な位置: x を表し x=vt に従う。もちろん v=p/m となる。尚、波束ピークの移動速度は群速度と呼ばれる。

波動関数の広がりから分かる通り、何と電子は時間が経つと、どこにいるのか分からなくなってしまうという事だ。電子波を無理やり局在化させて粒に見立てても、時間がたつとどんどん広がって波に帰ってしまうと言うことなのか?

続いてEq1.2-1を導出してみよう。

Fig1.1-9eの通り、電子波束の波数kによるフーリエ変換はガウス関数であった。p=ℏkの関係により、周波数領域にフーリエ変換された波動関数は運動量空間で再定義された波動関数と言える。両者は同じ量子状態を空間領域で表示するか、運動量領域で表示するかという『表示の仕方』が違うだけだと考えよう。

つづく

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