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Copyright Maeda Yutaka |
ニュース! 本HP 工業数学が工学社より出版されました。 ![]() 3.ランダム過程 携帯電話などの通信など通信システムにおける解析ではx(t)のように波形を時間関数として扱います。 特に無線通信の場合伝播路の空間の多様性、ノイズなどにより送信信号は正確に伝わらなくなり、その結果受信側でエラーが発生します。 この様な通信の過程で、より品質高め効率よく通信するためのさまざまな努力が行われて来ました。そして無線技術は”電気の技術”から信号処理を中心とした”情報処理”に広がってきたと言えます。 ランダム過程とは信号x(t)を時刻tで定まる確率密度関数として表現するものです。 ここでは統計論、確率論的に解析するための基礎を説明します。 他の章と同様フリーソフトのScilabによるシミュレーションを用いて解説します。興味のある方はダウンロードしておいてください。 3.1 乱数 一様分布の乱数とはサイコロの目の発生確率のように偏りのない乱数です。 ここでは以降一様乱数と呼びます。以下Scilabのシミュレーション結果です。 ソースプログラム SciLab_src_RandmProc ![]() -1から1の間に偏り無く一様に分布していることが解ります。 この場合の平均は0、分布の広がりを示す標準偏差は0.577です。 次に最もポピュラーな正規分布の乱数です。 乱数生成時の標準偏差を指定するパラメータを1にしました。 ![]() シミュレーション結果の標準偏差(SD)は1.002949となりほぼ指定の通りです。しかしグラフでの裾野は標準偏差の±1を超えて広がっています。 これは下記の式、平均をm(=0)、標準偏差σとし、xによる正規分布の確率密度関数:p(x)の赤いカーブと一致します。 ![]() また、パワー合計(Power)が1となっていることを記憶しておいて下さい。 次に正規分布の乱数を2つ発生させてみます。 ![]() この様にr1とr2は完全に一致はしませんがほぼ同様の分布であります。 ここで少し遊んで見ましょう。 以下のグラフはr1における自分自身の加算(r1+r)の分布を表示させたものです。 ![]() 標準偏差が2倍になっています。 同じものを足したということは振幅が2倍になったという事で、分散を示す標準偏差が2倍と大きくなってしまいました。 さらにPowerは4倍になっています。 Powerは振幅の2乗であるから当然と言えます。 それでは、r1にほぼ同様のr2と足すとどうなるでしょうか? やはり標準偏差は2倍、電力は4倍になるのでしょうか? 以下はr1+r2のシミュレーション結果です。 ![]() 同じ結果になりそうですが、意外なことに分散は√2倍、Powerは2倍でしかありませんでした。 ここで試した2種類の加算 r1+r1 → Power4倍(6dB) r1+r2 → Power2倍(3dB) は後々非常に重要となる性質です。是非、覚えておいて下さい。 ==続く== 参考文献 『MATLAB対応 デジタル信号処理』 樋口龍雄・川又政征 共著 昭晃堂 理論とMATLABによる実践がバランスよく組まれていて入門書として最適と思います。 本HPにおけるSciLabのプログラムを確認する上で、本書の MATLABのサンプルプログラムとパラメータを合わせ検証させていただきました。 参考HP ディジタル信号処理 信州大学工学部 井澤裕司先生 大学院講義の基礎知識と要点まとめたものだそうです。非常に分かりやすくまとまっています。 差分和分と微分積分 近藤健一さん 差分方程式の勉強で参考になります。 |
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